・その1
福島原発に関する海外メディア報道を読むと胃が痛くなってきたのだが、情報不足によるリスクの過大評価がなされていたという話。アメリカ政府もこれに引きずられていた雰囲気がある。一番情報を多く持っているのは日本なわけだ。仮に東電や日本政府が情報を隠蔽したとしてもそう判断できる根拠は何か。当事者がほんの少し時間軸を先に伸ばして考えた場合そうするインセンティブはあるのだろうか(隠蔽はすぐばれる)。
・その2
次は住基ネットがなぜ悪者にされたのか、その原因の一つに新聞によるセンセーショナル・バイアス(一種の偏向報道)があるとする研究。
第2期(稼働期)においてセンセーショナル・バイアスが観測されたという結論である。新聞報道の影響によって訴訟や反対運動という形で外部世論が形成されたと考えられる。
新聞もビジネスである。彼らは科学技術に関する専門知識には乏しいが、読者に何が受けるのかについては極めて鋭敏な感覚を持っている。記事を読者にとって魅力的な「商品」に仕立てる段階でセンセーショナル・バイアスがかかるわけだ。
世の中には革マル派の「鉄の六角錐」(最後の部分参照)のような陰謀論を信じている人がある程度いる。たとえば植草一秀の「悪徳ペンタゴン打倒」がそうだし、岩波書店の『世界』あたりの愛読者もその傾向がある。要は「悪い政府、財界、米国などがマスコミや学会、労働界を利用して人民を陥れようとしている」という二項対立にすべてを還元してしまっているわけだが、こういった構図はわかりやすく、もし本当にそうなら悪い奴らを打倒すれば問題は解決するはずである意味簡単だ。そうではなくて、その人民の曖昧な気分みたいなものがマスコミの営業活動的煽りにより増幅され、事態を悪化させていることが多いから厄介なのだ。人々は常に合理的な行動を取るとは限らない。
