2011年3月13日日曜日

稲作のコストダウン効果は10ha程度でほぼ消失する

 東京大学大学院の生源寺眞一という先生が、農協共済総合研究所のレポートに「あらためて農業・農政のあり方を考える:経済連携問題に寄せて」という題名で寄稿しているが、それによると稲作の生産性は10ha程度で頭打ちになり、規模によるコストダウンには限界があるそうだ。
 ところで先日全農が以下の提言をしている。各種メディアで報道されたが、大元に近い農業協同組合新聞の記事を参照する。



 具体的には「水田農業の将来像として、平場の集落単位で20~30ha規模の経営体づくりを実現する」とのことだ。生源寺先生の10haより広いのだが、意味はあるのだろうか。
 RIETIの山下一仁さんは「15ha以上の規模の農家のコストは米価の約半分の6,000円」(4.あるべき農政のところ)と書いているので、日本全国どこでも当てはまるものではないだろうが、10ha以上の面積で高い生産性を実現している生産者も現実いるのだろう。

 日本の米作問題は、論者の利害が錯綜しており、部外者にはなにが正しいのかわかりにくい。JAとしては
・価格下落で手数料が減るので、関税+生産調整による価格支持政策は止めるな(直接支払い+生産調整なし、関税廃止は色々理由をつけて反対する)。
・組合員が減るので、小規模兼業農家切り捨ては許さない。
ということなんだろう。前述の提言でもこれは維持している。各方面からJAに対する批判が強いので仕方なく「提言」をまとめてみたということで、実はあまり深く考えていないのかも知れない。
 しかし農林中金総合研究所の取締役の人によると、当の農業者の中にも「自分たちが日本の将来の障害になっている」と考える人もいるようだ。
 JAと無関係な人間としては、「日本の農業は潰してはならないと思うが、いまのJA農業事業はどうなってもいい」という感想だ。時代に適応した農業の形態を創って欲しいと思う。